会社員や学生は、“締め切り”に常に追われています。
会社員であれば、納期やマイルストーンの期日に追われていますし、
学生であれば、課題の提出期限といったところでしょうか。
このような締め切りに常に追われていると、かなりストレスがかかります。
今回はそのストレスを抑える方法ために、「最低限のゴール」を用意しようという内容をお話します。
またこれはプロジェクトをマネジメントする際にも大切な話でして、僕がいたスタートアップでも実際に行っていたことです。
なので、結構役に立つ話だと思います。
「最低限のゴールを用意する」とは
多くの人は、「完ぺきな状態」を合格ラインに置きがちです。
例えば、会社員であれば「バグのないシステムを納品すること」や「悔いのないほど完璧なイベントを開催すること」です。
また学生であれば、「最高評価をもらえるレポートを提出すること」でしょうか。
もちろんこれらが悪いこととは言いません。
最後まで全力を尽くし完ぺきを目指すことは、結果的に「自分の成長」や「他人から高い評価」に繋がりますので価値のあることです。
しかし、この常に「完ぺきを目指す」という考え方は無駄に精神的な疲弊を招きます。
そしてその疲弊によって、作業中にミスが生じたり、生産性が落ちたりします。
鬱などの病気になることもあります。
そこでオススメするのが、合格ラインを「最低限求められていること」と設定し行動することです。
ここでの「最低限求められていること」を決める際の基準は、「(作業の)流れを止めない」ということになります。
上記の例と対応させて考えてみましょう。
会社員であれば「バグは摂りきれずとも納品はできる状態であること」や「完成度は低くても企画したイベントが開催できる状態であること」であり、
学生であれば「最低評価かもしれないがレポートはとりあえず提出できる状態とすること」です。
これが「最低限のゴールを用意する」ということです。
特にビジネスでは先ほどお伝えした「作業を止めない」ことが重要です。
その理由は、ビジネスでは「作業が止まる=損失」になるからです。
これは作業の停止が、人件費の増加や、他社(他者)への迷惑、信用度の低下等に繋がるということです。
「最低限のゴールを用意する」ことのメリット
このメリットは3つあります。
- 精神的な安定を得ることができる
- 持続的に成果を出せる状態を維持することができる
- とりあえず成果は出すことができる
1つずつ説明していきます。
精神的な安定を得ることができる
「完璧なゴール」は達成することに相当な労力を使います。
一方で「最低限のゴール」は達成することはそこまで大変ではありません。
これはテストを考えてみれば、納得してもらえるかと思います。
テストで100点を取ることは大変ですよね?
しかし、80点程度であれば、少し頑張るだけで取れます。
これと同じで、「最低限のゴール」であれば達成の難易度は大きく下がります。
また「最低限のゴール」を締め切りより前に達成することで、気持ちに余裕がある状態でその後の「質を上げていく作業」を行うことができます。
この余裕がとても重要でして、「精神的な安定」を得られることに繋がり、無駄に身体的・精神的なエネルギーを消耗しなくて済むようになります。
持続的に成果を出せる状態を維持することができる
この視点は、特にプロジェクトをマネジメントするような立場にいる方であれば持ち合わせていないといけない視点です。
人間、誰しも常に全力(100%のパワー)で動くことはできませんし、無理して常に全力を出そうとすると無駄に疲弊します。
さらにその疲弊により、今出している全力が本来出せるはずの全力の50%しか出ていないということもよくあります。
ハッキリ言ってこの状態に陥っているのであれば、毎日コンスタントに85%のパワーで動くほうが最終的な成果として優れたものを残せたりするわけです。
また過度な疲弊は、作業時のミス発生などリスクマネジメントの観点からも避ける必要があります。
そこで「最低限のゴールを用意しておく」ことが大切になってきます。
「最低限のゴール」であれば、毎日普通に作業をしていれば達成できますし、その後それ以上の完成度を目指す際も、すでに「最低限のゴール」を達成しているため、慌てることなくコンスタントに作業を続けることができるようになります。
この「持続的に成果を出せる状態を維持する」という考え方は、プロジェクトマネージャーのような「人に仕事を割り振る人」にとってはとても重要な考え方です。
勘違いしてしまう方もいるかもしれないので追記しておくと、
「常に全力」はできないという話であって、全力が必要なときはあります。
実際のところ、僕がアメリカのスタートアップにいたころも、何かしらの期日の前はより高い完成度を求めて「追い込み」のような状態になっていました。
しかしプロジェクトマネージャーは誰であろうと常に「最低限のゴール」は意識して仕事をしていました。
これには以前書いたこちらのエントリーで紹介した「プランB」の考え方も関係してきます。
「最悪この機能の実装が間に合わなくても、ここまでは達成しているから、とりあえず次のステージには移れる」
というように、プランBとして「最低限のゴール」を達成した状態で次のステップに進むことも考えておくということが大切です。
こうすることで「常に全力(過度に疲弊しながら働く)」という状態を避けることができます。
とりあえず成果は出すことができる
たとえ何かしら行ったとしても「成果」が出ないことには他人はそれを評価してくれません。
良い例に、大学生のレポート提出があります。
「内容はとても良いが、完成せずに提出できなかった場合」と「内容は普通でも、完成して提出した場合」、どちらが評価されますか?
当たり前ですが、後者です。
これはビジネスにおいても同じです。
とてもよく資料集めや分析を行ったのに、プレゼン資料を十分に作る時間が取れず、結局提案に失敗してしまう人がいます。
こうなるのであれば、ある程度で資料集めや分析をやめ、とりあえずちゃんと提案できるように(最低限のゴールを達成するように)プレゼン資料を作る方が良いのです。
そして期限までの残り時間で、再度資料集めや分析を追加で行い、プレゼン資料をブラッシュアップしていきます。
あのFacebookの創始者でもあるマーク・ザッカーバーグもこのような言葉を残しています。
“Done is better than perfect.”
訳すと、「完ぺきよりも終わらせることのほうが良い」です。
本当にこの言葉通りだと思います。
「最低限のゴールを用意する」際の注意点
日本にはまだ「常に全力でやるべきだ」という理想論や「全力を出せないのは根性が足りないからだ」という精神論を他者に押し付ける文化が残っています。
そのような状態で、「最低限のゴールを用意する」という考え方について口にすると“逃げ“だとか言われる可能性があります。
また会社によっては、評価が下がることもあるかもしれません。
なので、その点は注意が必要です。
とはいっても、この「最低限のゴール」を用意するというのは、本当の意味で仕事ができる人であれば誰もがやっていると思います。
(少なくとも僕の周りはやっていました)
また、他の注意点として、「最低限のゴール」をクリアすればそれ以上を目指さなくてもよいということを僕は言っているわけではありません。
あくまで「最高のパフォーマンスを出すために、最低限のゴールを設けよう」ということです。
この点も勘違いなさらないようにしてください。
最後に
ここまでで「最低限のゴール」を用意することの有用性については理解していただけたかと思います。
プロジェクトを遂行する際は、今回の「最低限のゴール」と以前のエントリーで話した「プランB」を意識して行動することをオススメします。
そうすることで、無駄にストレスを抱え込まずに、作業できるようになります。
またここでプロジェクトの進行について、1つ参考になる面白い話があるのでお話しておきます。
旅行当日、彼は友人らに「トイレ休憩の時間だから今のうちトイレに行っておいて」と声をかけたのですが、そのとき友人らはトイレに行きませんでした。
そして1時間が経ち、友人らが「トイレ休憩」の時間でもないのにトイレに行きたいと言い出しました。
Aさんは友人らがさっきのトイレ休憩の時間にトイレに行かなかったのに、今になってトイレに行きたいと言い始めたことに怒っています。
そんなAさんは、自分は完ぺきなスケジュールを立てたのに、みんなのせいで台無しになったと考えています。
実はこの話、とあるテレビ番組で芸人さんが話していた実話でして、Aさんは自分のことを“できる人”だと考えていたそうです。
でも本当の“できる人”であれば、友人らが途中でトイレに行くなども想定してスケジュールを組みますよね?
そして、そのときどき発生したことに応じて臨機応変にスケジュールを変更します。
そうすることで、「最低限のゴール」である「旅行を楽しいものにする」ことを達成しようとするのです。
そのうえで回れる観光スポットの最大化するなど「旅行の質の向上」を考えます。
この話は、そのままプロジェクトをマネジメントする際にも当てはまります。
世の中には、チームメンバーにプレッシャーを掛けるだけ掛けて仕事をやらせ、失敗すればメンバーのせいにするというプロジェクトマネージャーもいます。
このようなプロジェクトマネージャーは、そもそもプロジェクトをマネジメントできていないので最悪です。
皆さんも僕と一緒に、このようなマネジメントの仕方にならないよう気を付けていきましょう!