みなさんは何か物事を考えるときに、最初から「賛成」や「反対」、「善」や「悪」というように“0か100か”で物事を考え始めていませんか?
初めに断言しておくと、この考え方は非常に危険です。
もちろん最終的に物事を決断する際は、「賛成」や「反対」のように“0か100か”を決める必要が出てきます。
しかし、初めから“0か100か”を決めつけて思考を始めることは、他人の考えを許容できなくなるおそれがあるため、オススメしません。
他人の考えを許容できなくなるということは、思考の幅が狭くなるということ。
つまり、
自分の頭が固くなるということ。
になります。
そこで、自分の頭を柔らかくするためにも、“0か100かではなく、パーセンテージで考える”方法の実践を推奨します。
ちなみに、これはあくまで主観ではあるのですが…
この「パーセンテージの思考法」を身に付けている人の特徴として、勉強してきたかどうかというよりは、多様な価値観の中で生活してきたかどうかによる影響が大きいかなと思っています。
事実、僕自身も大学4年生までは、この“0か100か”の思考に囚われていましたし。
しかし、研究室に所属して、価値観の全く異なる人たちと多くの時間を共有し議論を重ねたことで、パーセンテージで物事を捉えるようになっていきました。
そして、この「パーセンテージの思考法」が身に付いてから、自分の思考力が大幅にアップしました。
なので、ぜひ多くの人にこの「パーセンテージの思考法」を知ってもらえたらなと思います。
パーセンテージの思考法とは
世の中全ての物事には、トレードオフが存在します。
トレードオフとは、「とある物事にはメリットとデメリットの両方の側面がある」ということです。
もっと詳しく知りたい方は、こちらの「知っておくと役に立つ!トレードオフの考え方」を読んでみてください。
上記のエントリーを読んでいただいた方はわかるかと思いますが、
全ての物事にはトレードオフが存在するため、本来であれば一意に“賛成”や“反対”というように物事を決めることはできないはずです。
そして、物事を決める際は自分の心持ちは「賛成65%,反対35%」で、どちらかと言えば「賛成」というようにならなければなりません。
このように、「賛成」や「反対」のような“0か100か”の思考ではなく、割合で物事を考えるというのが、「パーセンテージの思考法」です。
パーセンテージの思考法がもたらすもの
パーセンテージの思考法がもたらすものは以下の4つです。
- 自分自身の心に余裕ができる
- 相手の話に耳を傾けることができるようになる
- 周りからの信頼度が上がる
- 思考の幅が格段に広がる
この4つは連鎖しています。
「自分自身の心に余裕ができる」と、人は相手の話に耳を傾けることができるようになります。
そして「相手の話に耳を傾けることができるようになる」と、結果的に周りの人からの信頼度が上がることに繋がります。
「周りからの信頼度が上がる」とより多くの意見や考えが集まり、その中には自分の中にはなかった観点からの意見や考えがあります。
そして、それらの意見や考えに触れれば触れるほど、「思考の幅が格段に広がる」ということに繋がっていくのです
心の余裕から、相手の話を聞けるようになる
人間誰しも、自分の意見を否定されると、自己防衛反応から相手の話に耳を傾けなくなります。
(皆さん、よくよく考えてみると、この自己防衛反応について身に覚えがあるのではないでしょうか?)
ここで、もし自分のなかに「賛成」の意見しかなかった場合に、「反対」意見を持つ人と話をするとなると、どうなるでしょう?
間違いなくお互いに議論が自分の意見を否定されることから始まるため、身を守るためにも相手の話のおかしな点や反論点を探りながら話をすることになります。
そしてお互いがお互いに反論を重ねていき、頭に血が上った状態になっていきます。
これでは、まともな話し合いはできませんし、お互いの信頼関係なんて築くことはできません。
しかし、ここでもし自分の中に「賛成」と「反対」の両方の意見を持っていたらどうでしょう?
相手の意見に賛同するところがあれば、自己防衛反応も出ないため、とりあえず相手の話を素直に聞くことができるようになります。
もちろん両方の意見を持っていたとしても、相手の話のなかで矛盾する点を見つけることもあるでしょう。
その場合でも相手の意見に賛同できる点が少しでもあれば、その矛盾の裏に隠れている「まだ言語化できていない相手の真意は何なのだろう」と反論する前に考えることができるようになります。
これが僕の言うところの「心の余裕」なのです。
そしてこの「心の余裕」があることで、相手の話に耳を傾けることができるようになるのです。
相手の話を聞くことで相手の信頼を獲得でき、それが自分の思考の幅が広がることにも繋がる
当たり前のことですが、自分の話を聞いてくれない人とは信頼関係を築くことはできません。
信頼関係は、話し合えることが前提にあるのです。
そして、信頼関係があればあるほど、話し相手は色々な意見や考えを言ってくれるようになります。
この色々な意見や考えに触れることで、人間の能力は進化していきます。
一人の人間が観ることのできる世界は高が知れているのです。
多くの人の話を聞くことで、自分の中にはなかった価値観や物事の捉え方を学ぶことができます。
その結果、自分の思考の幅が広がるのです。
「パーセンテージの思考法」により話し相手との信頼関係を築くことができると、思考の幅が格段に広がる
実はGoogleの調査で、優秀なチームに共通することとして「間違ったことを言っても大丈夫」というような心理的安全性が保たれていることがあると分かっています。
このことからも「何でも言える」という“信頼関係”が如何に大切であるかがわかります。
パーセンテージの思考法のその先
ここまでで話をしてきたパーセンテージの思考法についてですが、この思考法に慣れてくると、その次のステージがあります。(次のステージというと大げさですが...)
というのも、これまでは話し相手から多くの意見や考えを聞くことで思考の幅が広がるというものだったのですが、慣れてくるとある程度であれば自分一人で幅広い思考が可能になります。
このためにはトレードオフの考え方も自然と行えるようになる必要がありますが、そちらも慣れれば自然とできるようになります。
トレードオフの考えが自然とできるようになると、物事の良い点・悪い点の両方が一瞬にして見えるようになります。
そして、パーセンテージの思考法を用いて吟味することで、幅広い思考が可能になるのです。
残念なことに、話し相手はいつでもいるわけではありません。
特に、難しいことを議論できる友人は限られています。
そんなときに自分一人で幅広い思考ができれば、とても助かります。
(ちなみに僕自身は、ここ最近やっと自分で納得できるくらいのレベルになったかなという感じです。)
最後に
「パーセンテージの思考法」が如何に大切なのかは、本エントリーでご理解していただけたかと思います。
しかし、世の中を見ていると、多くの人が何か議論の場があれば“0か100かの思考法”に囚われ、“賛成”や“反対”を叫んでいる現実があります。
そして、自分と考えが逆の立場の人の意見も聞かずに、ひどいときは自分と立場の異なる人たちを罵っているのです。
(特に、政治関係だと多いですね…)
多くの方に「パーセンテージの思考法」によって、もっと心に余裕をもって物事を考えてもらえたらなと思っています。
「賛成」する人の意見も一理あれば、「反対」する人の意見も一理ある。
どちらかが一方的に正しいということはありません。
だからこそ、何%のところを落としどころとするかが重要なのです。